「本当かよ?」
私の返事に、太陽は不満そうに声を上げる。
私の顔を覗きこんでくる太陽に、私は作り笑顔を浮かべた。
「うん、何も隠してない。ほんとうだよ」
そういうたび、毎回傷ついたような表情を見せる太陽。
___ズキズキ
____胸が、締め付けられるように痛い。
私はギュッと胸元の制服を握りしめ、唇をかんだ。
そんな私を見たのか、太陽はフッと軽く息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。
「さ、そろそろ行こうぜ。もう行かなきゃ遅刻する」
そう言って、ズボンに付いた土を払う太陽。
「えっ?!もうそんな時間?」
私は慌てて中庭の時計を見て、ガバッと立て上がった。
時計の針は、8時を指している。
あともう十分で、朝のHRが始まってしまう時間だ。
「行こーぜ」
そう私に声をかけると、太陽はさっさと茂みをかき分け、中庭に続く道へと歩き出した。
「あっ、待ってよ太陽!」
私はその背中を追いかけながら、心の中でもう一度小さく謝った。
……隠しごとをして、本当にごめんなさい
私はまた地面を蹴り、太陽を追いかけるように走り出した。

