冷たい君の不器用な仮面







「何ヶ月ぶり?あの池に行くの」






「2ヶ月ぶりくらいじゃね?最近全然行ってなかったからなあ」








私は太陽の横に並んで歩きながら、だんだん見えてきた池を見据える。








池っていうのは、私と太陽だけの秘密の隠れ場所。






小さな池の周りに大木が何本も立っていて、その近くに木の切り株がある。







たくさんの草や葉っぱがそこらじゅうに生えていて、まるで森のような場所だ。








この池は中庭のずっと奥にあって、今じゃ私たち以外誰も立ち入らない。








雰囲気が怖くて幽霊が出そうだ、ってみんなは言うけど私はそんな静かな雰囲気が気に入ってる。







ひとたび息を吸い込めば、緑の清々しい匂いがして。







耳をすませば、葉のこすれる音だけが聞こえる。








__そんな、大自然の中にいるような不思議な気分になれるのだ。









私と太陽は中庭を抜けると、壊れて曲がったフェンスをまたぎ、草が生い茂った地面に足を踏み入れた。









……そう、この匂い。







草の透き通った匂い。








私は池までたどり着くと、切り株に腰掛けた。








そしてフッと目を閉じる。









心が、洗われていくような気がした。







毎晩見るあの嫌な光景も。







汚れた体も。









………私の全てが洗われ、真っ白になっていく……