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「……ユウって方向音痴だったんだね」
「え?」
「だからえって何」
私はあまりにも絶望的な方向音痴のユウと一緒に、レイの部屋のドアに手をかける。
203号室。
ここが、レイの病室だ。
「失礼しまーす」
__ガラガラ
私はスライド式のドアを開け、中を覗く。
あ、1人部屋なんだ。
割と広々とした部屋の中には、ベットが1つしかない。
私はカーテンがかけられているそのベットに近づき、声をかけた。
「レイ?お見舞いに来___!」
………サラッ
レイのまっすぐで綺麗な黒髪が、風に揺れた。
その瞬間、私の胸がドキッとなる。
光に照らされてより透き通って見える肌。
長いまつ毛に縁どられた綺麗な瞳。
額に当てられている骨ばった手。
その全てが私の胸を高鳴らせた。
………なに、この気持ち…

