っ?!
私はとっさに近くの戸棚の影に身を隠し、声の主を探す。
__……あっ、あの人だ。
私の後方に、黒いジャンパーを着た明るい髪色の男が見える。
ここからの距離は割とあり、相手もぼんやりと人影を目にしただけのようだ。
「__あれ?誰もいない。……気のせいか」
と階段付近まで来て呟くと、男はまた元きた道へと去っていった。
「……っはあぁ」
私は止めていた息を一気に出し、肩の力を抜く。
あと少し距離が近ければ、見つかっていたかもしれない。
私は男が去って行った方を、じっと見つめる。
……ここでぐずぐずしてちゃダメだ。
もう1度誰かが来て、見つかってもおかしくない。
時間が、ないんだ。
私は小さく自分の頬を叩くと、階段を一気に駆け上った。

