ーー景色がスルスルと私の目の前を流れていく。
黒い車の中から見つめる街は、相変わらず明るくてにぎやかだった。
笑顔を浮かべたたくさんの人々が、私の視界に写り、そして消えていく。
私は窓から視線を外して、そっと運転席にいるユウを見つめた。
……どこに向かっているんだろう。
レイがどこにいるのか、検討が付いているのだろうか。
ユウは車に乗ったきり、一言も喋らない。
私とマスターも、なんだか話しかけてはいけないような気がして口を開かなかった。
ーー車の中に、重々しい沈黙が流れる。
不安。
焦り。
怒り。
悲しみ。
3人のいろんな感情がごちゃまぜになって、今車の中をぐるぐると渦巻いている。
誰も言葉を発さなくても、ひしひしと伝わる私たち3人の気持ち。
ーーーただ、レイを助けたい。
今の私たちには、その想いが軸となってなによりも強い団結力が芽生えていた。

