あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。



─────カタカタカタカタ…

地響きが聞こえた。
地面から伝わってきた。

携帯やスマートフォンなど持っていない。
警報など鳴らない。


────ゴオン!!!!



──ガシャーン!!



「きゃああ!」

「わっ!」

雷かと思った。
激しく左右に揺らされた。
何とも気持ち悪い。
普通なら、地面が、世界が揺れることなんてないのに。
不思議な感覚。
自分が揺れているのとは全く次元が違う。

何が起こったのか、わからなかった。

いや、わかっていたのに、ついていけていなかった。

立っていられない。
バランスをとっても無駄だ。
私とカクは尻もちをつく。

周りには大人も誰もいない。

怖い。

怖い怖い怖い。

もしかしたら、本当に死ぬかもしれない。

普段、皆が冗談で使っている『死ぬ』が、今、私の目の前にある。

恐ろしかった。

海岸近くの家の瓦や塀がどんどん崩れ落ちていく。

その音を聞く度に、恐怖は増した。

カクも恐怖で言葉もでない様子でいる。