あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


いきなり発せられたその言葉を、瞬時に理解することなんてできなかった。

でも、カクの真剣な眼差しと、いつしか遊んだ日と同じ夕焼け色をした顔を見て、理解した。

嬉しかった。
好きな人に好きだと言ってもらえることは、こんなにも嬉しいものなのだと、初めて知った。

「キホぢゃんは?」

そう問われて、答えないわけがなかった。

「……私────」

そう言おうと。
答えようとしたんだ。
なのにそれはやってきた。
なんてタイミングだろうか。
いや、それは全ての人が思ったことだろう。

風呂に入っている人や、落ちてくるもので溢れた倉庫にいた人だって、いるかもしれない。

まさか、だれも、この時が訪れるだなんて。

思いもしなかったんだ。