あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


私たちも慌ててカクについて行った。
するとさっきの広間におじいさんとおばあさんが二人ずつ立っていた。
そのうちの一人のおじいさんにカクが肩車をされて喜んでいる様子が見受けられる。

「あ、この子なんだねぇ。陸の新しいお友達は」

そう言って私の目線に合わせてかがんでくれる一人のおばあさん。

「そう!キホぢゃんってんだ!あ、キホぢゃん初めでだな」

うん、と言うと「おばあぢゃん、浅岡 美由紀(アサオカ ミユキ)っでいうんだよ。いづも陸と仲良ぐしでぐれでありがどねぇ」と優しい笑顔で言ってくれた。

その顔を見て、自分の祖母を思い出す。
母方の祖母は亡くなったし、父方の祖母は大阪にいて、殆ど会えていない。

「いえ」とだけ返事をした。

するとカクがまた嬉しそうに話し出す。

「キホぢゃんに紹介しっか!
肩車してぐれでるじじが藤之(フジユキ)じじで、向ごうで水飲んでるのが涼子(リョウコ)ばっぱ。
うちわで仰いでるんが流一(リュウイチ)じじだ!
あ、父ぢゃんは流一じじの息子だがら流二(リュウジ)ってんだ!
親戚は、もう他にいねぇがら、皆で住んでんだ!」

すると広間で話をしていた母親たちが加わってきた。

「あぁ、おじいちゃんおばあちゃんたちと一緒に暮らしてるから少し訛りが強いのね」

「んだ。よぐ言われるよ」

もうすっかり馴染んだのか、さっきまで使っていた敬語も手放して、楽しそうに話している。