あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


話題がなくなり、どちらとも口を開こうとしない。

「えっと…カク。カクっていつもサッカーの服着てるけど、サッカー好きなの?」

このままは嫌だな、と思った私はいつもと変わらぬ口調で聞いた。

「え?ああ、別に。じじが買っでくんだ。お前はこいづがよう似合うっで」

カクもいつもと同じ口調で話してくれたため安心した。

「じじ?おじいちゃん?」

「うん!うんと優しい!」

「あー!キホぢゃんいだー!」

アズちゃんが私を指さして走って来た。

カクが、見づげだ、と私を離してアズちゃんに差し出した。

「あ、カク。カクのじじらが帰っで来だよ」

するとカクは「本当が!」と言って走って家に入っていった。