あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


アズちゃんが「いーぢ、にーい…」と数え始め、私とカクは走り出した。

キホぢゃんはあっち、とカクに指を指された方へと走る。

私はひっそりと、広い庭に出て植木の連なる影にかがみ込み、隠れた。

「もういいがぁい!」というアズちゃんの声が微かに聞こえたので、私も大声で「もういいよぉ!」と言った。

シンと静まり返ったところで息を潜める。

しばらくすると「カク見づげだ!」という声がした。

ということは、二人で私を探しているのか、と思うとなんだかウズウズする。
二人に、出てきてと言われるまで隠れていたいなと思っていた。

するとひとつの足音が近づいてきた。
より一層息を潜め、動作を停止する。
全身の神経を耳に集中させた。

でも、近づいてきたのは足音だけではなかった。
後ろは塀や茂みだというにも関わらず、ガサガサといった音が近づいてきていたのだ。