あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


カクのお母さんが海光の頬を優しくつついた。

「そうですよねぇ。じゃあ血液型は何ですか?」

「血液型は…ABだっだよ」

「本当ですか!海光もAB型ですよ!」

「本当!?AB型って結構少ねぇのにな!やっぱし似でるかもなぁ」

「もうー!二人で盛り上がらねぇでぇ!座っペ!それがら話すべ!」

私とアズちゃんを放って盛り上がり始めた親達は、畳の上に敷かれた座布団の上に座り、再び話し始めた。

お母さんたちが「光ぢゃんって呼んでもいいが?」とか「敬語なんていらねぇがら」とか、楽しそうに話している様子を二人で見ながら、そういえばカクがいないということに気付く。

「カクー!居ねぇのー?」

アズちゃんが大声で叫ぶと、どこか遠くから「こごさ居るー!」と聞こえてきた。

声のする方へ行くと広間からかなり離れた廊下の端にある部屋から、カクが出てきた。

「もう来でだんだなぁ」

いつもと似たような感じの、海外サッカーチームのティーシャツを着て、おどけた様子で話しかけてくる。

「来でだよ!何してだの?」

アズちゃんが腰に手を当て、すかさずカクに詰め寄った。