あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。



「じゃあ、お邪魔します」

そう言って五人は中に入った。
中は畳の部屋が広がっており、その広い部屋の端に、ベビーベッドが置かれていた。

「わぁ…。カクの妹、うんとめんこいね!」

「本当だぁ!髪の毛、金色みたいだね!」

そこに眠っている赤ちゃんは、色素の薄い少量の髪を、風でふわふわと揺らしている可愛らしい子供だった。

「ねえ、海美ちゃんは海光より早く生まれたのに、どうして髪の毛の量が少ないの?」

私はお母さんに抱かれている妹のところに駆け寄って聞いた。
海光の髪は私と同じ焦茶色で、海美ちゃんの毛量の二倍はあると思われる。

赤ちゃんも周りの人たちと同じでそれぞれ違うのよ、と母に言われた。

それを見たカクのお母さんは微笑む。

「うぢの家系の赤ぢゃんは、髪の毛の量が少ねぇみだい。名前は同じだげんちょも、やっぱし違うねぇ」