あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

***

「あらぁ、はじめましでぇ。陸の母の葛西 美波(ミナミ)と言います」

海光を外に連れ回しても良くなった頃。私とお母さんと海光はカクの家に呼ばれた。

「はじめまして〜。光希歩の母の岸元 光(ヒカル)と言います」

「美波ぢゃん久しぶりぃ!ちゃんど、光ぢゃん達連れてぎだよ」

もちろん、アズちゃんやアズちゃんのお母さんも。

アズちゃんの家と私の家が案外近所だったため、いつの間にかアズちゃんママと私のお母さんはママ友というものになっていた。

アズ母とカク母は幼馴染らしく、そこから輪が広がっていったそう。

「久しぶりだねぇ!さぁ、皆!入っペ入っぺ」

カクのお母さんが手招きをして呼んでいる。
その姿は、まるでカクがそのまま女性の大人になったようだった。

切れ長で猫目だけれど、大きな瞳。
艶のある黒髪。
右耳の下辺りでひとつに縛っている。

ただ、カクと少し違うのは、くせ毛ということ。

巻いているのか、と思うが、みたところくせ毛と思われる。