まさか合否通知書の『否』を真っ先に見てしまうとは。

確かに、よくよく考えてみると、落ちていたら一文字で『否』なんて恐らくないはずだ。
『不合格』とか、そんなところだろう。

目の前には、太陽が昇ってきたかのよう嬉しそうな表情をした翔琉がいた。

「お…落ちたと、思った…」

膝から崩れ落ちるのを翔琉に支えてもらい、翔琉の手にあるミサンガが顔を出す。

「おめでとう光希歩!」

「翔琉も…おめでとう!」

おめでとう。そしてありがとう。
翔琉も、翔琉がくれたミサンガも、海光も、千佳さんも、支えてくれたみんなも、頑張ってくれた私も。

「お祝いか、分からんけど、明日二人で出掛けへん?」

照れくさそうに言う翔琉に強く首を縦に振った。

二人で家の中に入り、合格と発表すると、もう家中大騒ぎ。
千佳さんは興奮して叔父さんに電話をかけるし、海光は抱きついてきて、広いこの家に幸せな声が響き渡る。

近所の人にお礼を言いにも行った。

感謝の気持ちでいっぱいだった。

ありがとう。
これからも、よろしくお願いします。

関わりたくなかった他人というものに、心の底からそう思うことができたんだ。