あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


「ご、ごめんやって!今日塾長が親戚のとこ行くみたいで、ほんまは塾休みやってん」

「なのに、なんでここにおるん?」

翔琉がここに来たのは、わざわざ私に会いに来てくれたんだと思うと申し訳なかった。
いつも塾のついでだと思っていたから。

「いや、その…。こ、この人ら困ってるみたいでさ。なんか、引っ越したくないけど引っ越さないとあかんらしくて…。それでさ!母さん、この人らを家に住まわせてくれへんかな…?」

するとおばさんは私たちの方を見て一気に顔色が明るくなった。

「あら?さっきのお姉ちゃんたちやんか〜。ごめんなぁ、こんなとこで騒がしくして」

気づいていなかった様子で謝ってくるおばさんを少し可愛いと思ってしまった。

「で、引っ越したくないって?お母さんとお父さんにはちゃんと話したん?」