あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

「うちらはここで…。ありがとうございました」

海光がおばさんに向かってぺこりと頭を下げ、私もつられて小さくなる。

「ええよええよ〜。変な人に連れていかれたりしたら怖いしなぁ。じゃあ、おばちゃんはあっちやから」

おばさんは笑顔で手を振って去っていった。

海光と二人、マンションに入ろうとすると。

「あれ?光希歩?」

目の前にはベンチに座っていたらしき翔琉がいた。

「翔琉…」

「なんで外に?おばあちゃんの具合は?」

何も知らない翔琉が少し羨ましくも感じた。
おばあちゃんは生きていると、まだ信じ込んでいて。私もまだ、家に帰ればおばあちゃんがいる気がしてならない。

海光は、お姉ちゃんの知り合い?と言わんばかりにワンピースの袖を引っ張ってきた。

「どうして昨日、来てくれなかったの…?」

唇を噛み締めながら私は聞いた。