あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

するとその人は、また優しく話しかけてくる。

「お姉ちゃんたち、駅の方に行くん?おばちゃんね、駅の近くに用があんの。一緒に行ってあげよか?」

その言葉に反応した海光が振り返り、一瞬目が合ったあと、こう答えた。

「じゃあお願いします」

おばさんはそれを聞き、微笑んで私たちに付いてきた。

静かな街に足音が三つ響いている。
おばさんは気をつかっているのか、何も話しかけてはこない。

度々私たちを見回してきてまた前を向く。
私はなるべく不自然のないように丁寧に歩いた。
やはり、右脚に自分の神経が行き渡っていない分、左脚に体重がかかり、歩き方が少し不自然に見えなくもない。
慎重に、俯きながら歩いていると、いつの間にかマンションの前までついていた。