あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


すると叔父さんは席を立った。

「夕食が終わったら帰りなさい。私は外でタバコを吸ってくる」

コツコツと足音が遠ざかっていった。
やっと海光の腕から力が抜ける。

「いやや…転校なんかしたくない」

俯いてそういう海光の気持ちが痛いほど伝わってきた。
福島に行く時、私は大して深く考えていなかった。
まだ頭脳が幼かったのかもしれない。
でも転校は人生の一大イベントなんだ。
知らない土地、話したこともない人々。
自分だけが新顔で、周りの人たちとは違う。
避ける道があるのなら、そうしたいと思うのも無理はない。
でも、そんなものある?
他に親戚なんていない。
ましてや知り合いだって、私がここで知り合ったのは翔琉しかいない。
避ける道は…ない。

「…もういらんわ。ごちそうさま。お姉ちゃん、帰ろ」

その言葉につられて私も席を立った。