「そうや…。やから、そんなん言わんとってや…。でも…ほんまのこと知りたい。お姉ちゃんはほんまに、うちのお姉ちゃんじゃないん?なんで?」
むせび泣くようにして海光は私に聞いた。
「…長くなるし、辛い話だけど、それでも本当に大丈夫?」
おばあちゃんが私に言った時のように、海光が壊れてしまうのは辛い。
「大丈夫。話聞くだけやろ?おばあちゃんが死んじゃったことよりマシや」
「…わかった」
長い長い帰り道で、私は翔琉に話した時と同じように語った。
表現の仕方も変えなかった。
あえてそうした理由は、何も覚えていない、何も知らないこの子に、後世に、伝えるためだったのかもしれない。



