あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。


私は海光の買ってきたビニール傘を受け取って、滝の中に出た。

ものすごい勢いではね上げる星屑たち。
振り返り、海光に手を伸ばした。

海光も傘をさし、照れくさそうに手を伸ばす。

「こんな雨やのに、手なんか繋いだらびしょびしょなるやん」

幼稚園に入ってから習得した大阪弁で、そう言いつつも、少し嬉しそうな海光が愛おしかった。

「…失いたくない、大切な家族だから」

本心を呟いた。
隣に目をやると、小さな女の子が今まで我慢していた大粒の涙を、周りの景色と同じように地面に落としていた。

「ごめんね、本当のお姉ちゃんじゃないなんて言って。海光の言う通りだと思う。私が本当の姉でなくても、海光が姉だと思ったら姉なんだって。それと同じで、私が海光のことを妹だと思ったら、妹なんだよね」

海光が買い物袋をもつ手で、グイッと涙を拭いた。