そして、そのあと彼と色々話した。

彼の名前が、高円寺一真ということ。

同じ学年の同級生だということ。

好きな本の話や興味のあること。

彼の実家が高円寺流の武家の一族で、父が高円寺流の剣道の師範だということ。

そして、今日は稽古が終わって急いで本を借りに来たこと。

三十分なんてあっという間に感じた。
こんなにも人と話すのに苦痛を感じないのは初めてだった。

キーンコーンカーンコーン

『下校の時間です。学校敷地内にいる生徒は速やかに下校してください。』

図書室にも下校のアナウンスが流れた。

私もアナウンスに従って図書室の閉館の支度をしようと高円寺くんに断ると、

「僕も手伝うよ。」

と二人で片付けをし図書室の戸締りをして学校を出た。


帰り道も最近読んだ面白い本や好きな天気の話をしたりして帰って、お互いの家に続く分かれ道に差し掛かった。