私は恋愛詩集を読み終えた後、本棚の掃除や色々な雑務を終え閉館三十分前になったので閉館準備を始めようとしていた。

「はぁ。四時半になってもこの暑さ。堪えるなぁ、。」

私は椅子を机の上に上げせっせこ片付けをしていると入口の扉がものすごい勢いで開いた。


バーーンッ!!!!!

「す、、すみませんっ、、はぁ、、まだ、本、、か、りゴホッ、ますかっ……!」

息切れが凄く、しかも袴姿で走ってきたのか頭もボサボサでメガネも少しズレた男の子が入ってきた。

「取り敢えず中へどうぞ……」

「す、すみません……。」

彼は申し訳なさそうに図書室のソファーに腰掛けた。
そんな彼に私は水の入ったグラスを手渡した。

「どうぞ。」

「あ、ありがとうございますっ。」

彼は私から水を受け取ると口に含んだ。
その姿は凄く美しく、今日読んだ恋愛詩集とは別の武士物語に出てくる茶会のシーンのように美しかった。

私がじっと見つめていると、視線が気になったのか彼が声をかけてきた。

「あ、あの。本ってまだ、貸出してもらえますか?」

私は彼の声にハッとして返事を返した。

「も、もちろん。」