私が初めて高円寺くんを知ったのは私達が一年生の夏。
私は夏期講習のついでに夏の開館も任されていた。
本に囲まれるのは苦痛でもなかったし、夏休みにわざわざ学校の図書室に来る人もいないと思っていた。
ミーンミンミンミン
ミーンミンミンミン
図書室で聴く蝉の聲はいつもは煩わしく感じるものも趣すらあると思えるのが不思議だ。
私は、図書室で恋愛詩集を読んでいた。
その詩に、
«恋はするものではなくいつの間にかしているものだ。誰かに言われて気づくものではなく、自分で確固たる恋という気持ちにいづれ気づくものだ。»
と著者の後書きが書かれてあった。
恋なんて一時の幻想だ。恋愛感情程、複雑で脆く儚いものは無い。と父と母は言っていた。
私の両親は所謂結婚で、父には当日とても愛した恋人が居たらしい。
だが、父と母の結婚が決まった途端父を捨てて他の男と逃げてしまったらしい。
父は母との縁談を蹴るつもりだったらしいが、理由がなくなりそのまま母と結婚して私を産んだ。
恋なんて幻想だ。
そう教えられてきた私にとっては色恋なんて夢のまた夢の話だった。
私は夏期講習のついでに夏の開館も任されていた。
本に囲まれるのは苦痛でもなかったし、夏休みにわざわざ学校の図書室に来る人もいないと思っていた。
ミーンミンミンミン
ミーンミンミンミン
図書室で聴く蝉の聲はいつもは煩わしく感じるものも趣すらあると思えるのが不思議だ。
私は、図書室で恋愛詩集を読んでいた。
その詩に、
«恋はするものではなくいつの間にかしているものだ。誰かに言われて気づくものではなく、自分で確固たる恋という気持ちにいづれ気づくものだ。»
と著者の後書きが書かれてあった。
恋なんて一時の幻想だ。恋愛感情程、複雑で脆く儚いものは無い。と父と母は言っていた。
私の両親は所謂結婚で、父には当日とても愛した恋人が居たらしい。
だが、父と母の結婚が決まった途端父を捨てて他の男と逃げてしまったらしい。
父は母との縁談を蹴るつもりだったらしいが、理由がなくなりそのまま母と結婚して私を産んだ。
恋なんて幻想だ。
そう教えられてきた私にとっては色恋なんて夢のまた夢の話だった。
