茉莉……?

茉莉って、誰だろう。

私は、高円寺くんが発した言葉にその場から動けずに居た。

私の中で疑問や色々なものがグルグル渦巻いている感覚に吐き気がした。

「……、ん、んぅ。」

私が色々と考えてフリーズしているあいだに高円寺くんが呻きを上げて目を覚ました。

「あ、あれ。ここは、、」

「図書室だよ。けど、もう閉館だから閉めるね。」

私が冷静を装って言うと彼は急いで鞄に本を詰めだした。

「ごめんっ、。寝ぼけちゃって。」

「ううん。大丈夫。、なにかうなされてたけど大丈夫?」

私が質問すると、高円寺くんは夕暮れ時の窓辺を見て呟いた。

「……ある人が夢に出てきたんだ。もう会えないんだけどね。懐かしくって、寝過ごしたのかも。」


と私を見て笑った。

この時高円寺くんには、大切な人が居て、彼がいつも空を見ていたのは彼女«茉莉»を思い出していたらだったんだって。










「……。ふーん。」


そして、私は、私を見る視線にも気づくことなんてあるはず無かった。