二年一組の高円寺一真(こうえんじかずま)。
少しくせっ毛の黒縁眼鏡。両手の掌にテーピングをしていてもさっとした雰囲気の男子。

週に一回図書室に本を借りに来る。

借りる本は天文学だったり純文学だったり偉人伝だったり、ファンタジーだったりする。
とにかくいろんな本を借りる。

そしていつも図書室の窓辺の隅の方に座って閉館の五時まで読んでいる。


「高円寺くん。閉館時間になったよ、、閉めていい?」



私が閉館しようと声をかけると彼は目を伏せて眠っていた。

「、、、、。」

私は受付の片付けをしてから起こせばいいかと思い戻ろうとしたら何かに引っ張られた感覚があった。

カーディガンの裾を高円寺くんが引っ張っていた。


「い、、くな。、、茉莉、、。」