本の匂いと人の気配の少ない空間。

教室みたいに五月蝿い所で落ち着けるわけもないし、一人でいると何故か変な目で見られる。

私は一人でいたいのだ。



私の通うこの学校〝私立楠葉学園〟は、高校で一二を争う進学校で蔵書数は日本トップクラスの高校。

私の両親は、何とか私をこの学園に入れたかったらしく塾やら習い事やら幼少期からやらされて友達と放課後遊ぶとかゲームやテレビで時間を潰すなんていうこともなく、趣味も何も無い私が唯一興味を持つことが許されたのが本。

本を読むことだけは誰にも邪魔されなかった。


私が楠葉学園に入った瞬間から、私の居場所はこの図書室だけだ。
勉強しかしてこなかった私は友達の作り方なんて知らないしいらないと思っている。
私みたいなつまんない奴と話したいともいないだろう。



でも、そんな私にも今好きな人が居る……。