【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜


そう言った後先生は自分のカバンに私のハンカチを仕舞った。
その時見えたバッグの中には。
たくさんの書類が見えた。


先生の仕事って、大変そう。
教育実習生も大変なのかな。


先生の顔を覗き見てみれば。
初日よりも疲れた顔をしていた。
目の下にクマもあるし。
ちゃんと寝れてるのかな。


「先生はどうして、先生になろうと思ったんですか?」


気付いたらそう聞いていた。
込み入った話だし、個人的な話だし。
こういうの、一介の生徒が聞くようなことじゃないんだろうけど。
でも気になる。


先生の事知りたい。
みんなが知らない先生を知りたい。
みんなと一緒は嫌だ。
少しでも、特別が、欲しい。
私だけがほしい。


好きな人の事を知りたいのは当たり前でしょ。
それに、焦ってる。
あと、一週間しかないから。
あと一週間後には、先生と私は他人になるから。


接点を持たない関係。
だから、焦ってる。
一秒も無駄にしたくない。
もっと、もっと。先生が知りたい。


「僕の父が教師なんです。」