【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜


難しいですね、眉を下げて笑う先生。
国語の教師なのにって、言ったけど。
でもその考え方、素敵です。


雨って名前は気に入っていたけど。
雨自体はそんなに好きじゃなかったから。


だって雨の日は気分が下がる。


湿気で髪の毛はまとまらないし。
靴下は濡れてぐしょぐしょになっちゃう。
体育は室内になるし。
雨の匂いは錆びた感じがして苦手。
偏頭痛が酷くなるし。
とにかくいいことがあんまりない。


でも、良いこと、ちょっとはある。


お気に入りのストライプの傘が使えること。
可愛い長靴を買ったから、それが履けること。
雨上がりには、虹がかかること。
そして、先生は雨が好きなこと。


ほら、また良いことが増えた。


だから私も、少し、雨が好きになった。
大好きには、まだならないけど。


「先生のおかげで少し好きになれそうです。」


「それなら良かった。あ、ハンカチ、洗ってお返ししますね。」


「いいですよ!私が洗います。」


「これは礼儀です。洗わせてください。」