【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜


先生にお気に入りのハンカチを手渡す。
少し遠慮がちに使う姿に、きゅんっとする。


「先生。」


「なんですか?」


「先生って、雨男ですか?」


ずっと気になっていた疑問をぶつける。


私がそう問いかけると。
先生はびっくりしたように私の方を見た。


だって、教育実習初日も雨だったし。
先生の授業中、雨音が響いていた事も印象的だった。


そして今日。
先生に会える時、雨が降っている。
また、ざあざあ、雨音を辺りに響かせていた。


「驚きました。よく分かりましたね。」


「先生は雨の日のイメージですから。」


「あはは、確かに。僕雨男なんです。」


照れたように笑う顔にまた、きゅんっとする。
雨男。
雨、なんか、いい響きかも。


「雨男なのもあって、雨、好きなんです。」


「……どうして好きなんですか?」


「そうですね。……落ち着くんです。雨の音、匂い、景色、心が穏やかになるというか。」