【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜


傘持ってきてないのに……。


濡れた髪と制服を拭くため、ハンカチを取り出す。
水分を含んだハンカチは少し重く感じて。
お気に入りの白色が少し汚れたことに気分が下がる。


雨降るなら白色じゃないのにしたら良かった。
それにしても、雨。止まないなあ。


空を見上げてみれば止む気配はなくて。
傘もなく身動きができない私は。
そのまま外の風景をぼーっと眺めていた。


時折通る車を見ては。
私も車運転出来たらいいのに、なんて考えてしまう。


先生は、車運転できるのかな。
もう免許取れる歳だよね。
車と先生、かっこいい……。
少し見てみたい、そんな欲が芽を出し始める。


数分経ってから、こちらに走ってくる人を見かけた。
あの人ずぶ濡れだ。
天気予報外れたし、傘持ってないパターンだ。
会社員の人かな、大変だなあ。


そう思いつつ走る姿を眺めていると。
こっちに向かって走ってきていた。


あ、雨宿り一緒な場所かも。


早めに察した私は少し隙間を開けて、はじっこの方による。
そうして、走ってくる人を待っていると。
近くまで来た時、見覚えのある人だということに気付いた。


「……先生?」