【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜


だから私は、虎を突き放せない。
傷つけたくない。
そんな矛盾で、また虎を拒めていない。


拒む日が来なければいいのに。
そう思いながら笑う。
友達という関係に甘えながら、私はこの関係に甘んじる。


「じゃあ、また来週。」


「来週ね。」


「俺とも遊べよ!雨!」


「気が向いたらね。」


「気を向け!」


「はいはい。」


あれから中学の時の思い出話に花を咲かせ。
気付けばもう夕日が沈みそうな時間帯だった。
キリのいいところで解散し、それぞれの帰路へ立つ。


あ、雨雲。
これ雨降るかも。


さっきまで晴れていたのに。
向こう側の空は曇り空だった。
どんどんこっちへ泳いできて、すぐさま私の頭上を覆った。


ぽつぽつ、雨が降ってくる。
小雨から大降りに変わる頃には、もう真っ暗で。
私は近くのお店の屋根で雨宿りをしていた。


天気予報、雨って言ってなかったよね。