「はい、ハニーミント」
バイトの休憩時間、一つアイスをもらえる。
今日は新作のハニーミント。

「ありがとうございます」

中華
イタリアン
アイスクリーム

このビルには、この3つのお店が入っている。
ビルの3階の奥の部屋が会議室のように広く
共同の休憩室になっていた。

窓辺に座ってアイスを舐めていた。
今日は土曜日。

しゅんから逃げて携帯もいじれない、あたし。
学校がないだけ、ましだった。

キスしてるんだよね、もえことは。
もっともっとしてるかもしれない。
膨らむだけの妄想。

「大丈夫?山本さん」
「え?あっ」
アイスがとけてべちょべちょだ。
エプロンで拭いてくれる。
イタリアンのシェフをやってる佐川くんだ。

「泣いてるの?」
「え?泣いてません」
アイス以外なにも持ってなかったあたしは
とっさに、腕で涙をぬぐった。

あたし
ナイテタンダ。

「悲しいの?」
「ううん、大丈夫です。ええ?」

泣いていたのは、佐川くんも

いっしょ

だった。

「ごめん、ごめん」
「どうして?」