キラリン。
メール受信の音が何度もしている。

しゅんからだ。

知ってた。

あたしのこと、そうでもないこと。
だって、あたしの一目惚れだったんだもん。

小5のとき、しゅんが引っ越してきて
ずっと憧れてた。
サッカーが上手で、背も高くて優しかった。

「メイ、お前、超話やすい。野郎といるみたいだ」
「なんだと」
じゃれあって、じゃれあって。
ずっと、そのままでいいと思ってた。

一緒の高校に入れた時、すごくうれしくて
しゅんの前で、はじめて泣いてしまった。

頭を撫でてくれた。

「メイ、頑張ったな。中クラスだったのに」
「しゅんのおかげだよ」
髪の長さが同じくらいの、あたしたち。
兄弟みたいだねって、よく言われてた。

「おいおい、泣くなって。女の子の涙は困っちゃうよ」
「女の子?」
こくりと頷いて、しゅんは卒業式に「つきあう?」って
聞いてきた。「いいよ」と頷いた。

でも、関係は、今でも、あの時と、さほど、変わってない。

じゃれて、話してるだけで、キスもしてなかった。

恥ずかしかったし
怖かった。
今の関係が壊れちゃいそうで。


つきあってるのに、キスのタイミングを二人とも逃していた。
二人とも恥ずかしがっていた。

もえことはキスしたんだ。

桃のにおいで分かってしまった。
近くによると、いつも桃のにおいがしていたから…。

あたしってバカ。
最近、しゅん汗臭くないな~って思ってただけだった。

そして、安心していた。
つきあってるって言葉に。