終わりだ。

終わっちゃう。

家についちゃう。

「ごめん、ごめんメイ
俺、どうしてもメイになにも出来なくて
でも、もえこは違っていて……」

残酷な言葉を、やさしいしゅんの声が
話す。

別れたくないんだってば。

「今までだって、友達以上のことは
してなかったんだし何も変わらないよ
メイ、ねえ、そうだろう」

その時、
しゅんの目を睨みつけていた。

あたし。
あたし。

「別れたくない」

「メイ」

しゅんの胸に、思いきって飛び込んだ。

事実は
もっと残酷だった。

いつになく、強く、あのにおいがした
からだ。

桃の
におい。

「うっ」

もうダメ…。

せっかく飛び込んだしゅんの体を
突き放し、家へかけこんでしまった。

「メイ、待って」