その言葉を合図とするように教室のドアが思いきり吹き飛んだ。

「はいはーいっ、櫂さん生きてるーっ?」

「天、はしゃぎすぎだ」

蹴破られたドアから2人の男の子が出てきた。

そのまま櫂くんに近づいていく。

私たちを取り囲んでいた男子たちもあまりの出来事にひるんで何もしてこない。

櫂くんは呆れたようにため息をついた。

「登場が派手すぎんだよ」

「だって櫂さんがおれたちを呼ぶからじゃーん、何事かと思うでしょ?」

「まぁある意味めんどくさいことにはなってるんだけどな」

そういうと櫂くんは私をちらりと見た。

そこで初めて私に気づいたのか2人は目を見張った。

天と呼ばれた人が私の顔を覗き込む。

「オネーサン、誰?」

金の髪の毛が間近に迫って思わず私は身をひいた。

「俺が巻き込んだんだ、こいつを逃すからお前頼んだぞ」

そういうと櫂くんは私をかつぎあげた。

「よっと…お前軽いな」

「っ!?は、はなしてっ」

あまりに突然というかナチュラルすぎて抵抗する暇がなかった…!

じたばたする私なんかものともせずに櫂くんは歩き出す。

そこでようやくはっとしたのか男の子が叫んだ。

「時雨のヘッドともあろうヤツが逃げんのかよ!」

「別に逃げるわけじゃねぇよ、天を置いていく。そいつに勝てたら俺が相手してやるよ」

振り向かずに櫂くんが言い放つ。

怒りに染まった男の子が追いかけようとするけどその前に天くんが立ちはだかった。

「どけよ、1年坊主」

「やだよ、お前に櫂さんは勿体ない」

「こんの…っ!」

男の子が天くんに飛びかかる。

それをひらりとかわすと天くんは相手の顔を殴った。

つ、強い…

「お前らなんかじゃおれにも勝てないね。そんなのが櫂さんと相手できるなんか思わないほうがいいよ」

それから天くんは私の方を向くとひらひらと手を振った。

「じゃあオネーサン、またねっ」

櫂くんにかつがれている私は呆然としながら見ていることしかできなかった。