「今なんて言った?」


俺は九廉に聞き返した。


「海斗の好きな人が誰か見たいと思って?」


「なんで俺に好きな人がいることになってんだよ」


「え?いないの?一麻がいるって言ってたよ」


あの野郎……。


嘘の情報を流しやがって。


放課後のため、一麻は帰ってしまっている。


明日お灸をすえてやらなくては。


「それでいるの?いないの?ねーねー」


「くっ付くな!」


「いるの?いないの?」


「あーもう!いねぇよ!」


俺がそう答えるとさみしい顔をしながらくっつくのをやめた。