彼の名は、『梶冬雪(かじ・ふゆき)』私と同い年だった。



彼もこの桜の木を良く見に来ていたらしく、私のことを何度か見かけていたそうだ。



「俺さ、自分の名前嫌いなんだよな…The冬感じじゃん。なんか冷たいイメージじゃん!?でも、桜はいいよな!温かくて、すげー羨ましい」


冬雪はそう言った



「羨ましくなんかないよ。私も、自分の名前嫌い…春なんて一生来なければいいのに…」



「桜…?」



冬雪の心配する声に我に帰った私は作り笑いを浮かべながら何とか誤魔化した。