私は必死に動こうとしない腕を何とか動かして車椅子をひいた。




桜の木には蕾がいくつもあり、もうすぐ、咲くのだろう。



冬雪はいなかった。もう会えることはないだろうと帰ろうとした時、



「さく…ら?桜なのか!?」


そこには冬雪がいた。奇跡だった。



「お前、それ…」



その言葉を遮るように私は


「ねえ冬雪、まだ咲いてないけど、桜見よう。約束したでしょ?」