Side 桜
厳しかった冬の寒さはあっという間に過ぎ、暖かくなり始めた。


私の命ももう少し。


この頃にもなるともう私は自力で動くことは出来ず、車椅子がなければ歩く事すらできなかった。



なぜだか、死ぬことに対する恐怖はなくなっていた。



ただ、ひとつ心残りは冬雪にあの1回きり会えていないことだ。



死ぬ前にどうしても冬雪に会いたかった。



いるかも分からないのに私は病院を抜け出した──