これから先もきっと、わたし一人だけが知っている恋だから。このくらいのわがままは、伝えても許されるだろうか。
「先生、結婚式には呼んでください」
おいしいごはんも綺麗なブーケもいらないけれど、幸せになるあなたの姿を、ちゃんと自分の目で見たい。
それから、できれば、お祝いしてくれたいい生徒の南里さんとして、先生のどこかにしばらくひっそりと住まわせてもらえたら、いいなあと思う。
先生のウェディングドレス姿が楽しみです、と伝えるとき、今まででいちばん上手に笑えた気がした。
「ベリーショートの花嫁さんっておかしくないかしら」
「そんなことないですよ。先生なら、きっととても素敵です」
『花束はいらない』Fin.



