彼の家に遊びにいくと、
出てくるものは和菓子ばかり。
私は、和菓子が好きだから喜んだけれど、
彼は洋菓子が食べたいといった。
こんな家の育ちだから、
あまり洋菓子を食べれないと
落ち込む彼に、
幼い私は、洋菓子を送った。
9月29日、
彼がはじめて空気に触れた日に、
一つだけ。
彼はそれを、とても喜んでくれた。
「美味しい」
と、幼い顔で笑う。