甘やかして、私だけ





「ねぇ、…あかねちゃんってさぁ…」


一瞬ためらったあと、小さくつぶやく



「ん?なに?」


三村くんの言葉を聞き逃さないように耳を澄ませる



だけど、


「…やっぱりなんでもなーい!!すんごいカレーおいしかったよ、ごちそうさまでした!」



明るい声でそういった



…‼ 真面目に聞こうとした私がバカみたいじゃん

ちょっと心配したのに……



「あー!もしかして、あかねちゃん哀愁漂う俺の顔に惚れちゃった?!イケメンは罪っていうもんねー」



「惚れてない!三村くんみたいな見た目の人が私、一番が嫌いなの!!」



ったく、チャラチャラして!





でも、まあ、目元もキリッとしてるし、鼻だってスッとしてるしちゃんとしたらカッコイい…………はず!!!




またまた~なんて、おどけて言ってくるけど、さっきまでと何かちがう三村くん




「もう、しらないっ!」


ふん!別にもう心配なんてしてないんだから!




気を取り直して、食べ終わった二人分の食器を持って立ちあがった

そのまま流しに向かって洗い物をする






それにしても、三連休とか最高だよね
明日は何しようかな~♪


~♪




のんきに鼻歌を歌いながら洗い物を進める



あ、三村くんは明日、なにするんだろう


ふと、三村くんのいるほうを見てみると





”キュッ”


へ?


茶碗を流していた水が突然止まった

そして、みた方向に三村くんがいない…


「きゃ……!」


突然後ろから何かに包み込まれるように抱きしめられた 
 


「あかねちゃん…」


低い声で名前呼ばれ、耳元がくすぐったい



「なに?!三村くん?!」



突然なに?びっくりするよ!!


びっくりして心臓がバクバクいってるし、顔が熱い



「あかねちゃんて、いつも、こうやって男を一人暮らしのお家に入れてんの?」



なななに?ちょっと怒ってる?

そんな声色でささやく



テンパる頭をどうにかして答える



「そ、そんなことない、…ここに住んで誰かが来たの、三村くんが初めてだよ」


すると、私を抱きしめる腕にギュッと力がはいる



「なんで、そうやって、すぐ煽ってくるわけ??いま、どういう状況かわかってる?」


苦しそうな声で三村くんは言う


いや、わけわかんないよ!

自分の心臓がやけにうるさい



すると


「…ちょ!ねぇ、やめて!!なに匂い嗅いでるの!!」


突然、顔を首筋にうずめてスーってしてるんですけどこの変態!




「はぁぁ、いい匂い、どうしよう、あかねちゃん俺帰りたくないよぉ」


「変態!!!かえって!今すぐ!」

「えー、さっき俺のこといい人って言ってくれたじゃん!」


それとこれとは、別!



「だってさ、強引に家に連れ込まれるし、エプロンなんてつけちゃってお料理し始めるし、かと思えば俺のこと褒めてきて、きいてる?とか、首傾げてのぞき込んでくるし、おいしいカレーで胃袋まで捕まれちゃって、悩殺レベルだよ…!」




つらつらと早口で唱えるようにそう言った。。。



悩殺って…なんなの、この変態…