「おはよう、皆。…おっ切島は今日も時間通り来て偉いな!」
顔を上げると、クラス担任の江島先生がニカッと笑って教壇に立っていた。
「ったく、今日は土井(どい)の奴は来てねーのか?」
土井 晴海(どい はるみ)
女の子っぽい名前だが立派な男子高校生で
私の友達だ。
と言っても、
この男がなかなかクラスに顔を出さないせいで
私は話し相手もいないのだけれど。
「晴海は今日遅れてくるんじゃない?寝坊ってLINE来たし」
「そっか。ありがとなー切島」
江島先生は脱力しながら
学級簿に書き込みを始めた。
先生に向かってこんなタメ口をきくのだって
中学の時じゃ有り得なかったけど、
服装とかを注意された時に強気でいられるように
日頃からタメ口にしてる。
「切島も何か言ってやっていいんだぞー?お前もちゃんと教室来いってな」
先生は冗談めかしてそう言ってるけど
本当に言おうかな。
晴海が来ればぼっちに苦しむ必要もないんだし。
うん、連れてこよ。
引きずってでも連れてこよ。
