甘色の恋~君のことが好きな私は悪役ですか?~




「行ってきます」



誰も居ない家に呟いて玄関を開ける。



一人暮らしという訳ではないのだが、


うちは母子家庭で母親はいわゆる夜の仕事をしている人なので


滅多に家には帰らないのだ。



お母さんが毎日家にいてお弁当を作ってくれるような家庭に


憧れたことがないと言えば嘘になるけれど、


今はきちんと受け入れているつもり。



それにそのお陰で今自由にさせて貰ってるって自覚もあるから


今の境遇にちょっぴり感謝もあるかな。