甘色の恋~君のことが好きな私は悪役ですか?~




「「おかえりー」」



「……ただいま」



思わずほうっとため息をついた。


一気に肩から力が抜けていく。



知らない内に、


体がこわばっていたみたい。



…戻ってくるまでの記憶が曖昧だな。



流谷とおしゃべりしながら


なんとか


普段通りに振る舞えていたと思うんだけど…


いまいち自信がない。



「…兎衣?やっぱ具合悪いんじゃねぇか?顔色悪い」



ひょっこり流谷が顔をのぞき込んでくる。



その顔は心配げに曇っていて、


そんな顔をされると


こんな時でもときめいてしまう。



それに、こうやって気づいてくれるところも


好きなんだよなぁ。



私のこと見てくれてるんだって


安心できる。



「だ、大丈夫。問題なし」



「ふーん?…なら、いいけど」



「うん…」



なんかすごく


疑いの目を向けられてる気がする…。



流谷って勘がいいっていうか


鋭いっていうか、


だから隠しごとをするときは


すごくドキッとするんだよね。



「流谷メシは?」



流谷の視線が私から陸斗の方へと移動する。


ナイス陸斗!助かった!



「あー、まだ。売店でなんか買うわ」



「んじゃあ俺も行くー。ジュース飲みたいし」



「俺も俺も」



晴海が手を挙げて


陸斗もそれに続く。



一人になっちゃうし


私も行こうかな。



「じゃあ、私も」