正門まであと十メートル程のところまで来た時、
丁度門をくぐろうとする鮮やかな金色が見えた。
あの髪色、流谷だ!
「おーい、りゅう……」
「きゃあ!」
え。
突然聞こえた可愛らしい悲鳴。
見ると、正門を潜ったところで
流谷の足元に一人の女子生徒が
転がっていた。
流谷とぶつかった、のかな?
「…すまねぇ。怪我ないかい?」
「あっ…私は大丈夫です。こちらこそごめんなさい!」
流谷は手を差し出して
少女を助け起こす。
可愛い子……清楚で、女の子って感じ…。
「ああ、次から気をつけろよ」
女の子の無事を確かめた後
その場を去ろうとする流谷を女の子が引き止めた。
「待ってください!…あの、私咲夜真衣っていいます。貴方の名前を聞いてもいいですか?」
何かが、音を立てて壊れた気がした。
