彼と初めて出会ったのは中学三年の夏。



受験生になったことで


皆ピリピリしていたんだろう。



周りより少し勉強のできた私は


いつも悪意の棘を向けられていた。



一生懸命勉強して、


その結果浴びせられた数々の心無い言葉に


どれほど傷つけられたことか。



苦しくて悔しくて


泣きながら家まで帰ってた時、


流谷が声をかけてくれたんだよなぁ。






『おいおい、小便でも漏らしたか?』



まあ、泣いてる私を見た第一声が


これだったんだけど。



今となっては笑い話だけど


中学三年の女子に対して小便漏らしたかって…


軽く最低だよね。



でもその後いっぱい話聞いてくれて


慰めてくれたんだっけ。



嬉しかったなぁ。



『俺勉強できねぇからすごく尊敬する。俺も~…喧嘩とか頑張る、し?…お前も俺がついてると思って勉強頑張れ。そいつら鼻で笑えるくらいにな』



ってよく分かんない理屈で


一生懸命励ましてくれたりもして、


すごく救われたんだ。



その頃から流谷は結構……


なんというか、派手で


名も知れてたから


簡単にどこの高校に行くのかとかの情報は知ることができた。



だから、あの後結局勇気がなくて


声をかけたりとかは出来なかったんだけど


流谷を追いかけて


この高校に来たって訳。



それで今度こそ仲良くなるために、


内気な自分を変えるために


容姿を変えて頑張って話しかけに行ったんだよねぇ。



今ではもうこの格好も好きでしてるんだけど。