情熱的に愛して

雪人さんだなんて、背中がゾワッとする。

「ああ、そうだな。よく来たね、雪人君。」

「ありがとうございます。」

「で?用件は?」

事を急ぐお父さんに、ガクッとくる。


「お父さん、それはないでしょ。」

「いや、いいよ。夏海。」

キュンとした。

何?

門馬雪人に名前呼び捨てにされて、私、舞い上がってんの?


その間に、門馬雪人は座布団を外し、直接畳に正座した。

一体どこでそんなマナー、見つけてくるんだ?

「お父さん。突然ですが、夏海さんと結婚させて下さい。」

綺麗なお辞儀。

まるで、テレビを観ているようだ。


「うーん。どうかねぇ。」

「えっ?お父さん?」