情熱的に愛して

中に入るなり、門馬雪人は資料を一枚、捲り始めた。

「おまえさ、この企画。どう思ってるの?」

「どうって?」

「いまいち、やる気が感じられないんだよな。」

私は、右手で口元を押さえた。

「あれ?本当に、企画の打ち合わせだったの?」


私はてっきり、昨日の夜の答えを聞いてくるのだとばかり、思っていた。


「茶化すな。おまえの企画、本当にいいと思ったのは、事実だよ。だけどこれじゃあ、がっかりだな。」

「……やり直すわ。」

「ああ。お願いするよ。」

わずか一日前に、プロポーズしたとは思えない程、冷静な態度。

さすが門馬雪人。

敵ながら、あっぱれとしか言えない。


「で?答えは?」