情熱的に愛して

私は、自分のデスクから離れなかった。

大体、みんなのいる前で、二人でどこか消えたら、噂の種になるし。

「この前の企画、もう少し煮詰めたいんだ。」

門馬雪人は、これ見よがしに、資料を頭の上に挙げている。

そう言えば、この前の会議の帰りに、私の企画が何たらとか、言っていたっけ。

「行ったら?」

秋香が、隣から私の背中を押す。

「仕方ないなぁ。」

私はゆっくりと立ち上がって、門馬雪人の元へ向かった。


「部長、ミーティング室借ります。」

門馬雪人は、用意周到にミーティング室の鍵まで、持って来ていた。

「答えを聞く気、満々ってところですか。」

「そうだな。」

至って冷静な門馬雪人と、私はミーティング室の中に入った。